kintoneの「ルックアップ」機能は、複数のアプリ間にてデータ連携を行える便利な機能です。
しかし、ルックアップ機能の詳細やその設定方法、さらには自動更新する方法については、分かりづらい部分も多く、難しく感じている方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、kintoneのルックアップ機能について、基礎から具体的な設定方法、さらには自動更新をする方法まで網羅的に解説します。
kintoneは、業務効率化を支援するクラウド型の業務アプリケーションプラットフォームとして、多くの企業に採用されています。その中で便利な機能の一つが「ルックアップ」です。ルックアップとは、他のアプリに登録されている情報を参照し、必要なデータを取得(コピー)することができる機能です。この機能を利用することで、異なるアプリ間でのデータの関連付けや一貫性のあるデータ管理が可能になります。
近いイメージは、ExcelのVLOOKUP関数と似た役割を果たします。VLOOKUPが特定の範囲からデータを検索するように、kintoneのルックアップも特定のフィールドからデータを取得します。しかし、kintoneの基本機能として装備されているルックアップは「自動」ではなく「手動」で行われます。
そのため、ユーザーは必要に応じて手動でデータを参照し、コピーする操作を行う必要があります。この手動ルックアップは、ユーザーがデータの正確性を確認しながら操作を進められるという利点がありますが、頻繁にデータを更新する必要がある場合には手間がかかることもあり、業務の効率化をさらに進めたい企業は、kintoneのルックアップ機能を自動化するためのカスタマイズを行うこともあります。
kintoneのルックアップ機能は、他のアプリのデータを参照し、指定したフィールドに自動的に情報を取得する機能です。これにより、顧客情報や商品名などのデータ入力時に手動入力の手間を省き、入力ミスを防ぐことができます。
例えば、案件管理アプリで顧客番号を指定すると、関連する顧客名や連絡先が自動的に入力されるため、業務の効率化が図れます。さらに、ルックアップ機能を活用することで、複数のアプリ間でデータの一貫性を保つことが可能です。例えば、商品マスタアプリで商品名やカテゴリーを管理し、受注アプリで商品番号を入力すると、対応する商品名や価格が自動的に表示されます。
そうすることで、各アプリ間でのデータ整合性が確保され、情報の更新や変更が容易になります。また、ルックアップ機能は、計算フィールドやリンクフィールドとも連携でき、複雑なデータ処理や外部サイトへのアクセスもスムーズに行えます。例えば、商品の在庫状況をリアルタイムで表示したり、顧客のウェブサイトへのリンクを自動生成することが可能です。これにより、業務プロセスの効率化と情報管理の精度向上が期待できます。
ただし、ルックアップ機能で取得したデータは、参照先の情報が更新されても自動的には反映されません。そのため、定期的にデータの一括更新や自動更新の設定を行うことが推奨されます。例えば、CSVファイルを利用した一括更新や、プラグインを活用した自動更新機能を組み合わせることで、最新の情報を常に保持することが可能です。
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kintone(キントーン)をカスタマイズする3つの方法
続いて、kintoneのルックアップ機能でできること・できないことについて詳しく解説します。
1. 複数のアプリで同じマスターデータを使用できる
kintoneのルックアップ機能を使うことで、複数のアプリケーション間で共通のマスターデータを参照することが可能です。これにより、顧客情報や製品情報などの重要なデータを一元管理し、各アプリケーションで同じ情報を使用することができます。これが実現することで、データの重複入力を防ぎ、業務の効率化が期待できます。
2. 参照元のデータをすぐに参照できるようになる
ルックアップ機能を利用すれば、関連するデータを即座に参照することが可能です。例えば、顧客情報を含むアプリケーションから、取引履歴を含む別のアプリケーションのデータを簡単に参照することができます。これにより、ユーザーは必要な情報を迅速に取得でき、意思決定のスピードが向上します。
3. 表記ブレや入力ミスが防げる
ルックアップ機能により、データ入力時に参照元のデータから選択する形式を取るため、人為的な作業による表記ブレや入力ミスを大幅に減少させることが期待できます。これにより、データの正確性が向上し、後続の業務プロセスにおけるエラーを防ぐことができます。
1. 修正や更新をしても自動更新されない
標準のルックアップ機能には、参照元のデータを変更しても自動的に更新されないという制約があります。例えば、マスターデータの一部を更新した場合、関連するすべてのアプリケーションでルックアップをし直す必要があります。これにより、更新作業が手間となる可能性があり、注意が必要です。
2.初めに入力したデータが誤っている場合、全てのデータに誤った情報が入力されてしまう
ルックアップ機能を利用する際には、初期データの正確性が非常に重要です。最初に入力したデータが誤っていると、その誤った情報がすべての関連アプリケーションに渡ってしまいます。そのため、初期データの入力時には特に注意を払い、正確な情報を確保することが求められます。
続いて、注文管理アプリと商品管理アプリを例にルックアップの設定方法を説明します。
【手順1】
商品管理アプリのデータを注文管理アプリに取り込むために、元データとなる商品管理アプリのデータを登録をして下さい。
【手順2】
続いて、注文管理アプリにルックアップフィールドを配置します。
注文管理アプリを開き、レコード一覧画面の右上にあるアプリ設定ボタンをクリックして「フォーム」タブを選択して下さい。
【手順3】
その後フォームにテーブルを配置し、テーブルに「ルックアップ」をドラッグアンドドロップして下さい。
【手順4】
商品管理アプリから情報を取得したいフィールドも、あわせてテーブルに追加して下さい。
【手順5】
ルックアップフィールドの上の設定ボタンをクリックして設定画面を開きます。
その後、「フィールド名」、「商品コード」、「関連付けるアプリ」、「コピー元のフィールド」をそれぞれ設定して下さい。
【手順6】
続けて、「ほかのフィールドのコピー」を選択して下さい。
ルックアップ元のレコードから、ほかのフィールドのデータをまとめて取得できます。また、下にある「コピー元のレコードの選択時に表示するフィールド」にて選択したフィールドは取得するレコードの選択画面に表示されます。
【手順7】
以下の項目も、必要に応じて設定して下さい。
[絞り込みの初期設定]
絞り込み条件が取得するレコードの選択画面に適用されます。
[ソートの初期設定]
取得するレコードの表示順を設定できます。
【手順8】
ルックアップフィールドの設定画面の「保存」をクリックして下さい。
【手順9】
テーブル右上にあるテーブル設定ボタンの「テーブルの設定」をクリックして、テーブル名を入力し、「保存」をクリックして下さい。
【手順10】
画面右上の「アプリを更新」をクリックし、設定完了です。
kintoneは、業務効率化を図るための強力なツールですが、その機能を最大限に活用するためには、ルックアップの自動更新が欠かせません。ここでは、kintoneのルックアップを自動更新する方法についてご紹介します。
kintoneでルックアップを自動取得・更新する方法はさまざまありますが、どの方法を選ぶかはプロジェクトの規模やリソースに応じて慎重に検討する必要があります。それぞれの方法には利点と注意点があり、どれを選んでも一長一短があります。例えば、JavaScriptを利用した自力開発は高い柔軟性を持つものの、属人化のリスクやメンテナンス負担が大きい点に留意する必要があります。一方で、CSVによる一括操作やプラグインの活用は手軽に導入できる反面、機能や操作範囲が限定される場合があります。また、専門業者への依頼は費用がかかるものの、効率的で安心感のある解決策となります。
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kintoneでルックアップを設定する
kintoneアプリにルックアップを設定する
JavaScriptを利用してkintoneのルックアップを自動更新する方法は、エンジニアがいる場合ローコード開発できると思いますが、初心者の方が学びながら開発すると時間がかなり必要となるため、注意が必要です。ただ、自力での開発ができれば柔軟性が高く、カスタマイズ性に優れています。
しかし、kintoneのアップデートに伴うメンテナンスが必要となり、これが工数の増加につながる可能性や、JavaScriptを使ったカスタマイズは、担当するエンジニアに依存しがちで、属人化のリスクがあります。これにより、エンジニアが変更になると、システムの管理や継続的な運用に支障をきたすことがあります。
CSVを利用したレコードの一括登録や一括更新は、比較的簡単にルックアップを更新する方法です。しかし、ルックアップのキーとして設定したフィールドに関しては、ルックアップ元アプリで「値の重複を禁止する」の設定をしておく必要があります。この制約を守らないと、データの一貫性が保たれず、システムの信頼性が損なわれる可能性があります。また、コピー対象のフィールドにルックアップ元と異なる値を入れたい場合、一括登録や一括更新では対応できないため、手動での調整が必要になることがあります。
kintoneには、ルックアップを自動取得するためのプラグインがいくつか存在します。これらのプラグインを利用することで、ルックアップの自動更新を容易に実現できます。しかし、プラグインによって費用や操作の方法が変わるため、適切なプラグインを選ばないと、期待する効果を得られない場合があります。また、プラグインの導入によってシステムが複雑化するリスクもあるため、導入前に十分な検討が必要です。
kintoneのルックアップ自動更新を効率的に行うためのもう一つの方法は、専門業者に相談することです。専門業者は、kintoneに関する豊富な知識と経験を持っており、ニーズに合った最適な提案してくれます。また、社内リソースを他の業務に集中させることができ、全体の業務効率を向上させることができます。
本コラムでは、ルックアップ機能の基本から設定方法、そして自動更新を可能にするための手法を詳しく解説しました。kintoneのルックアップ機能は、JavaScriptやプラグインを活用することで、自動更新の課題を解決し、さらなる業務効率化が実現可能です。ぜひ、kintoneのルックアップ機能を最大限に活用し、業務の効率化と精度向上を目指してください。
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