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予実管理をkintoneで行うには?効率的な予実管理を行うためのポイントを解説

予実管理にExcelを利用しているものの、入力ミスや集計作業の手間、リアルタイムでの進捗共有に課題を感じていませんか?特に案件数が増えると、管理表は次第に煩雑になり、更新漏れも発生しやすくなります。その結果、迅速な意思決定を妨げる要因となってしまいます。

本記事では、kintoneを活用して予実管理を効率化する方法をわかりやすく解説します。アプリ設計のポイントに加え、運用を支援する便利なプラグインもご紹介。このまま従来の手作業に頼り続ければ、作業負担は増加し、経営判断のスピードにも悪影響を及ぼしかねません。kintoneなら、ノーコードで簡単に運用を開始でき、部門をまたいだ予実情報の共有と管理が一気に加速します。

Excelで限界を感じたら――予実管理をkintoneで見直す理由

予実管理とは、「予算(予)」と「実績(実)」を照らし合わせることで、業務やプロジェクトの進捗状況や収支バランスを可視化・評価するための管理手法です。多くの企業ではExcelを使って予実管理を行っているのが現状ですが、以下のような状況では限界を感じるケースが増えています。

・案件数が増えて複雑化する
・関係者が多くなる
・リアルタイムでの情報共有が求められる

こうした環境変化に、Excelでは柔軟に対応しきれない場面も少なくありません。

Excelによる予実管理における主な課題

1. 属人化しやすい構造:特定の担当者しかファイル構造を把握しておらず、引き継ぎやエラー対応が困難になります。

2. データの整合性維持が困難:複数人で同時に編集することで、上書きミスや入力漏れなどのトラブルが発生しやすくなります。

3. 煩雑なバージョン管理:月ごとの更新ファイルが乱立し、どのファイルが最新版か分からなくなるケースが多発します。

4. リアルタイムでの情報共有が困難:会議や報告のたびに手動でファイルを更新する必要があり、タイムリーな意思決定に支障をきたします。

これらの課題を放置していると、予実の差異分析に時間がかかり、結果として意思決定のスピードや正確性にも悪影響を及ぼしかねません。

kintoneによる解決アプローチ

kintoneは、業務ごとのデータを「アプリ」という単位で管理できるクラウド型の業務改善プラットフォームです。データを構造化して一元管理でき、リアルタイムでの閲覧・更新・共有が可能。さらに、ノーコードでアプリを作成できるため、経理や営業などの非IT部門でも簡単に活用できます。

予実管理の場面でkintoneを活用することで、以下のようなメリットが得られます。

・案件ごとの予算と実績を一覧化し、視覚的に管理
・自動計算によって、差異や達成率を即時に算出
・権限設定により、情報の閲覧範囲を適切に制御
・モバイル端末からの入力・確認にも対応

また、これまでExcelで使っていた予実管理のフォーマットを、kintone上でそのまま再現することも可能です。そのため、従来の業務フローを大きく変えることなく、スムーズに導入・運用を開始できる点も大きな特長です。

kintoneでの予実管理アプリの作り方と設計のポイント

kintoneで予実管理を行うには、まずはアプリの設計から着手する必要があります。

本項では、予実管理アプリの基本的な構成と、効率的に設計を進めるためのポイントについて、わかりやすくご紹介します。

アプリ構成の基本

予実管理アプリは、一般的に以下のような構成を基本とします。

フィールド名 種類 内容例
案件名 文字列 Webサイト制作、導入支援など
担当部門 ドロップダウン 営業、開発、サポート
予算額 数値 1,000,000円
実績額 数値 950,000円
差額 計算 予算額-実績額
達成率(%) 計算 実績額 ÷ 予算額 × 100
ステータス ドロップダウン 進行中、完了、未着手
登録日/更新日 日付 システムによる自動記録

設計のポイント

1. フィールド設計は「使う人」を意識
経理部門・営業部門・経営層など、閲覧する立場によって必要とされる情報は異なります。すべての情報を一律に表示してしまうと、かえって混乱を招く可能性があります。そのため、利用者ごとに適切な表示設定を行い、フィールドの構成や整理を丁寧に進めることが大切です。

2. 自動計算で人的ミスを防ぐ
達成率や予算と実績の差額などは、手作業で計算するのではなく、kintoneの「計算フィールド」機能を活用して自動化しましょう。これにより入力ミスや計算間違いを防ぐことができ、常に最新かつ正確な数値を表示できます。

3. 絞り込みとグラフで予実の差異を可視化
月別や部門別にデータを絞り込んだうえで、kintoneのグラフ機能を活用すると、予算と実績のギャップを視覚的に把握しやすくなります。これにより、状況分析がスムーズになるだけでなく、会議資料の作成も効率的に行えるようになります。

4. アクセス権を活用して情報統制
案件ごとに経理担当者のみが編集できるようにする、または部門ごとに閲覧範囲を制限するといった運用も、kintoneでは柔軟に設定可能です。適切なアクセス権を設けることで、情報漏えいや誤操作を防ぎつつ、必要な人だけが必要な情報にアクセスできる環境を整えられます。

5. 定期レポートの自動化
リマインダー通知や定期レポートの自動出力機能を活用することで、毎月の報告漏れや対応の遅れを防ぐことができます。担当者への定期的な通知設定や、必要なデータの自動集計によって、業務の抜け漏れを最小限に抑え、効率的な報告体制を構築できます。

以上のポイントを踏まえて設計することで、無理なく運用できる予実管理アプリを構築することが可能です。

予実管理に役立つおすすめkintoneプラグイン

kintoneの基本機能だけでも予実管理は十分に行えますが、さらに業務の効率化や視認性の向上を図るためには、プラグインの活用が非常に効果的です。ここでは、予実管理に特に適したおすすめのプラグインをご紹介いたします。

1. 予実管理プラグイン

予算と実績の数値差異をリアルタイムで自動計算し、グラフや一覧でわかりやすく可視化します。これにより、手作業による集計ミスを防止でき、迅速かつ正確な分析が可能となります。複雑な数値管理が求められる現場に最適であり、経営層から現場の担当者まで幅広くご活用いただけます。

2. NICE営業物語 on kintone

営業活動に特化した予実管理プラグインで、案件ごとの売上予測や進捗管理を統合的に行えます。営業担当者が入力したデータをもとに営業目標の達成状況をリアルタイムに把握できるため、マネージャーは部下の活動状況を詳細に把握しやすくなります。また、営業プロセスの見える化により、成約までのボトルネックを発見しやすく、改善施策の立案にも役立ちます。営業チームのパフォーマンス向上と目標達成を強力に支援します。

3. 予実管理アプリパック on kintone

予実管理に必要な複数のアプリをセットで提供するため、初めてkintoneで予実管理を行う企業でもすぐに利用開始できます。予算の登録、実績入力、差異分析、進捗状況の可視化までをワンストップで実現。導入後も使い勝手を見ながら段階的に拡張・改善できるため、長期的な業務改善に貢献します。

これらのプラグインは、ノーコードで簡単に導入および設定ができるため、すぐに日々の業務で活用いただける点が大きな魅力です。

まとめ

kintoneを活用した予実管理は、従来のExcelによる管理と比べて、格段に効率的で正確な運用を実現します。リアルタイムでの情報共有、自動計算、グラフによる可視化、通知機能など、kintoneならではの柔軟な機能を活用することで、部門をまたいだスムーズな予実管理が可能になります。さらにプラグインを併用することで、運用の幅や利便性も大きく広がります。今後の業務改善に向けては、まずは小規模な案件からkintoneで予実管理アプリを試作し、社内に浸透させる第一歩を踏み出すことをおすすめします。その結果、経営判断のスピードと精度が飛躍的に向上するでしょう。

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