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kintoneをJavascriptカスタマイズでできることとは?

多くの企業で導入が進むクラウド型業務アプリ開発プラットフォーム「kintone」。その大きな魅力は、プログラミング知識がなくても業務アプリを簡単に作成・運用できる点にあります。しかし、標準機能だけでは対応しきれない、より複雑な業務要件や、企業独自の細やかなニーズに対応したいと考えるケースも少なくありません。

そこで注目されるのが、kintoneの「JavaScriptカスタマイズ」です。これは、kintoneの標準機能をさらに拡張し、自社の業務に最適化するための強力な手段となります。本記事では、kintoneをJavaScriptでカスタマイズすることで具体的に何が「できること」なのか、そのメリット、具体的な活用事例、そしてカスタマイズを行う上でのポイントについて詳しく解説します。kintoneの可能性を最大限に引き出し、貴社の業務効率化を加速させるためのヒントを探っていきましょう。

kintoneのJavaScriptカスタマイズでできることの概要

kintoneのJavaScriptカスタマイズとは、kintoneアプリの動きや見た目を、JavaScriptコードを記述することで変更・追加する手法です。これにより、標準機能では実現できない細やかな制御や、外部システムとの高度な連携が可能になります。

主に、以下のような「できること」があります。

1.入力補助・入力制御の強化

○特定のフィールドに特定の形式での入力のみを許可する(例:電話番号のハイフン自動挿入、郵便番号から住所自動入力)。

○あるフィールドの値に応じて、別のフィールドの表示・非表示を切り替える。

○入力された値のリアルタイム検証(例:重複チェック、数値範囲チェック)。

○特定の条件でのみフィールドを必須化する。

2.画面表示の柔軟な変更

○レコード詳細画面や一覧画面のレイアウトを動的に変更する。

○特定の条件に応じて、文字の色や背景色を変える。

○グラフやガントチャートなど、標準にはないリッチな表示形式を追加する。

○ボタンの追加や削除、配置の変更。

3.業務ロジックの複雑化・自動化

○複数のフィールドの値に基づいた複雑な計算を自動で行い、結果をフィールドに反映する。

○特定の条件が満たされた場合に、自動的にレコードのステータスを変更する。

○レコードの保存時や編集時に、特定の処理を自動実行する。

○標準のプロセス管理では対応できない、より細やかな承認ルートの制御。

4.外部システム・サービスとの連携強化

○kintoneアプリと外部のSaaS(会計システム、CRM、地図サービスなど)をAPIで連携し、データの自動送受信を行う。

○自社開発のシステムとkintoneを連携させ、業務を一元化する。

○外部データベースから情報を取得し、kintoneアプリに表示・登録する。

JavaScriptカスタマイズを行うメリット

JavaScriptカスタマイズを導入することには、多くのメリットがあります。

●業務へのさらなるフィット
標準機能では難しかった「かゆいところに手が届く」カスタマイズが可能になり、業務プロセスに完全にフィットしたシステムを構築できます。これにより、現場の使いやすさが格段に向上し、業務効率がさらに高まります。

●ヒューマンエラーの削減
入力制御や自動計算などを実装することで、手作業によるミスを大幅に削減できます。データの正確性が向上し、後の工程での手戻りを防ぎます。

●生産性の向上
複雑な手動作業や確認作業を自動化することで、従業員はより付加価値の高い業務に集中できるようになります。結果として、組織全体の生産性向上に貢献します。

●既存IT資産の有効活用
既存の外部システムやデータベースと連携することで、これらのIT資産を最大限に活用できます。新たなシステム開発にかかるコストを抑えつつ、業務プロセス全体を最適化できます。

●競争力の強化
企業独自の複雑な業務プロセスをkintone上で実現することで、他社にはない強みを持つシステムを構築できます。これは、業務効率だけでなく、企業の競争力向上にも繋がります。

JavaScriptカスタマイズの具体的な活用事例

JavaScriptカスタマイズは、様々な業務シーンで活用されています。

営業部門での活用

○顧客名を入力すると、企業情報データベースから住所や電話番号を自動取得し、入力の手間を削減。

○商談フェーズに応じて、次のアクションや必須入力項目を動的に表示・非表示にして、入力漏れを防止。

○受注金額を入力すると、自動で手数料や消費税を計算し、見積もり作成を効率化。

経理・総務部門での活用

○経費精算アプリで、交通手段や区間を入力すると、交通費を自動計算して表示。

○稟議書アプリで、申請金額に応じて自動的に承認ルートを変更する(例:50万円以上は部長承認、100万円以上は役員承認)。

○備品管理アプリで、在庫数が一定以下になったら自動で発注依頼の通知を生成。

製造・開発部門での活用

○工程管理アプリで、進捗率の入力状況に応じて、ガントチャートを動的に生成・表示。

○品質管理アプリで、不良品の発生頻度が高い項目に注意喚起のメッセージを表示。

○開発タスク管理アプリで、特定のタスクが完了したら、関連するテストケースを自動生成。

その他、全社的な活用

○従業員情報アプリで、入社年月日を入力すると、勤続年数を自動計算して表示。

○特定の条件を満たすと、kintone外のBIツールにデータを自動送信し、分析レポートを生成。

○外部の地図APIと連携し、顧客の所在地を地図上にプロットして表示。

JavaScriptカスタマイズを行う際のポイント

JavaScriptカスタマイズは強力な機能ですが、導入にはいくつかの重要なポイントがあります。

●要件の明確化と設計
何を実現したいのか、どのような課題を解決したいのかを具体的に明確にすることが最も重要です。漠然とした要求では、効果的なカスタマイズはできません。事前に業務フローを整理し、カスタマイズの目的と範囲を明確に定義しましょう。

●JavaScriptの基礎知識
カスタマイズにはJavaScriptのプログラミング知識が必要です。基本的な文法、DOM操作、非同期処理(Promise/async-await)、kintone APIの理解が求められます。自社に知識を持つ人材がいない場合は、学習するか外部のリソースを活用することを検討しましょう。

●kintone APIの理解
kintoneのカスタマイズは、kintoneが提供するJavaScript APIを通じて行われます。どのイベント(レコード表示時、保存時など)で、どのデータをどのように操作するかを、APIドキュメントを参照しながら理解する必要があります。

●保守性とメンテナンス
カスタマイズしたコードは、kintoneのアップデートや業務変更によって影響を受ける可能性があります。そのため、将来的な保守やメンテナンスを考慮した、分かりやすくコメントの多いコード記述が重要です。また、バージョン管理システムを利用することも推奨されます。

●テストと検証
カスタマイズを適用する前に、必ず十分なテストと検証を行いましょう。意図しない動作やエラーが発生しないか、複数のパターンで動作確認を行うことが不可欠です。本番環境への適用は、テストが完了してからにしましょう。

●専門家やベンダーへの相談
複雑なカスタマイズや、自社での対応が難しい場合は、kintoneのJavaScriptカスタマイズに精通したSIerや開発ベンダーに相談することを強くお勧めします。彼らは豊富な経験とノウハウを持っており、より安全かつ効率的に要件を実現してくれます。

まとめ

本記事では、kintoneのJavaScriptカスタマイズが、その標準機能の限界を超えて、企業の様々な業務ニーズに応える強力な手段であることを解説しました。入力補助や画面表示の変更、複雑な業務ロジックの実装、さらには外部システムとの連携強化など、JavaScriptカスタマイズによって「できること」は多岐にわたります。これにより、業務のさらなる効率化、ヒューマンエラーの削減、生産性向上といった多大なメリットを享受できます。

JavaScriptカスタマイズは専門知識を要しますが、適切に活用することで、kintoneは貴社にとって唯一無二の業務基盤へと進化します。もしkintoneの標準機能だけでは解決できない課題を抱えているのであれば、JavaScriptカスタマイズの導入を検討してみてはいかがでしょうか。専門家の協力を得ることで、その可能性を最大限に引き出すことができるでしょう。

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